長期的な視点での投資_新型コロナの教訓を生かす

イノベーション(innovation)

参考動画・書籍

ビルゲイツ 新型コロナを最後のパンデミックにするには

始めに

 この記事を書いてる現在、日本だけでなく、世界的に見ても新型コロナは落ち着きつつある。この2年間、多くの人々が新型コロナに苦しめられ、命を落とした人を多数出した。

 この新型コロナのパンデミック(感染症の大流行)が起こる7年前の2015年にパンデミックに対する危機感をスピーチで訴えていた人がいる。それが今回記事に書かせてもったビル・ゲイツである。その時の動画が以下である。

 今回紹介する動画と書籍は本当に大流行してしまった新型コロナの経験を通して、ビル・ゲイツが新たに人々に訴えかける内容となっている。動画の内容を要約する。

要約

【パンデミック予防に重要なこと】

投資、訓練、医療システム

 

 ビル・ゲイツは身近な例として消防を上げていた。西暦6年ローマ帝国を大規模火災が襲い、皇帝アウグストゥスは歴史上初めて専業の消防士の組織を作った。個人の力には限界があると理解し、コミュニティを活用しのだ。

 現在、防災システムが確立され、火災装置がなったら、指示があるまで外で待機し、訓練を積んだ消防士がすぐに駆けつけ、消化活動を行う。水を供給する消火栓もあらゆる所に設置され、消防車も多くある。そのような投資、訓練、システムはパンデミックの予防にも必要となる。

【パンデミック時における訓練された消防士の役割を担うチーム】

 パンデミック発生時にスタンバイしている専門チームを作る。専門チームは医学や科学のプロだけではなく、疫学者、データ科学者、物流のプロなど様々な専門家で構成される。そのチームは様々な国とやり取りが発生するため、コミュニケーションや外交のスキルが必要となる。

 専門チームには訓練が必要であり、パンデミックない時は他の感染症を通じてスキルを磨く。

【パンデミック時におけるシステム】

 パンデミックに迅速に対応するために医療システムの強化が必要となる。新型コロナの死亡率が他国と比べて1/10低いオーストラリアが例にあげられていた。迅速に診断場所を確保し、ソーシャルディスタンスや検疫の方針の確立等を比較的早く行えた。

 加速度的に広がるウイルスの感染症に対して、最初の100日で低い感染率を維持できれば、その後の広がりを抑えることができるというデータもある。

【パンデミック時における消火栓や消防車の役割を担うモノ】

 簡便かつ速い診断方法、治療薬、予防するワクチンがパンデミックには必要である。

 ワクチンも重要なモノであるが、予め数を用意できる診断や感染予防等で使用できる汎用性のあるツールがパンデミック前にあるのが理想。そのようなモノの研究開発が必要となる。研究開発が進んでいる優れたモノが動画の中で紹介されていた。

・診断方法 例)ルミラ 

様々な病気の診断ができ、PCRと同じ精度で、コストが1/10で簡単に使用できる小型装置。

・吸入することで予防できる薬

具体的な名前などは明かされなかったが、多くの種類の病原体に対応できる免疫系に作用する吸入薬。

・ワクチン 

どの変異株にも効果があるワクチン(変異しやすいコロナやインフルエンザ)。注射剤ではなく、経皮、吸入など使いやすい剤形のワクチン。

世界中の人々に広く提供でき、半年以内に製造できる工場も必要となる。

【まとめ】

ビル・ゲイツは3領域で投資を提言

  1. 病気を監視する組織
  2. 優れたツールの研究開発
  3. 医療システム

 コストは安くはないが命を救うものであり、長期的に見れば節約になり、保険のようなものとなる。

 適切に対処できれば、最後のパンデミックにもなるかもしれない。世界をより良くする機会であり、足踏みしているHIV、マラリアにも応用が効く。

【その他】

 今回のパンデミックで先進国とそうでない国間で不平等な医療格差が明らかになった。それを是正するような世界全体の医療システムを構築し、誰もが健康で生産的な送れるような世界をつくる。

 その為には、各国やWHOと協働し、公衆衛生機関や専門チームを低所得国にも配置する、パンデミックに必要となる流通システムも確立しておく必要がある。

コメント

 Microsoftの創業者で名を馳せたビル・ゲイツが感染症にも提言できるすごさを感じた。そこから考えさせられることは長期的視点での投資である。イノベーションを起こすにはリスクを取ることも必要であり、失敗の可能性もある。しかし、先のことを見据えればやり抜かなからばならない投資である。

 また今回のパンデミックでイノベーションを起こした新型コロナのmRNAタイプのワクチン(ファイザー、モデルナはこのタイプ)も辛抱強い長期的な視点に立ったカタリン・カリコ博士による研究開発により生み出された(興味がある方は下記動画参照)。従来のワクチンはウイルス等の病原体を増やして作られる為、開発や製造に時間を要していた。従来のワクチンとは異なり、mRNAワクチンは迅速な開発や大量生産が可能となり、パンデミックをきっかけにイノベーションとなった。

 日の目を見ないmRNAワクチンの研究であったが、博士が辛抱強く信念を貫いた結果が今回のイノベーションへと繋がった。実用化を目指す研究や事業を行う上で「選択と集中」はリソースを集中させる一つの手段として重要であるが、幅広い芽を育てるような研究や事業も重要である。もちろん失敗するリスクはあるが、その失敗の中から花開くモノが生み出される可能性はある。

 「人間には短期の損得と利便性を長期の達成感よりも優先する性質がある」と言われる。目先のことにとらわれず、リスクを取り、医療、研究開発など長期的な視点に立ち投資に取り組み、新しい変化を起こせるか今回のパンデミックから考えさせられる。

 

【世界を変えた】カリコ博士…研究生活は困難と挫折の連続

コメント

タイトルとURLをコピーしました